端的に書くと、これはCoopゲームの最高峰である。これは私だけでなく、一緒にプレーした青龍さんも同意してくれるだろう。クリアーまで6時間かかったが、全くダレずに最後まで一気にプレーした。そして、2回目も挑戦中である。
本作品はCoop専用ゲームであり、オンライン乃至オフラインのフレンドを1人引っ張ってこないと、開始すらできない。オンラインではゲームを2本購入する必要があるのかと言うと、それも違うのでちょっと説明を加える。実際にゲームを購入した人は製品版がストックされるが、EAオリジンには誰もが無料版を入手した状態である。この無料版の人がプレーするには、誰か製品版保持者を探さないといけない。つまり、無料版同士では遊べない。一方製品版保持者は、相手さえ見つければ遊べる。ただ、ゲーム内にはパートナーを見つけるサーバー一覧やロビーなどは一切用意されていないので、あらかじめフレンドと話をつけておくか、外部フォーラムやSNS等で呼びかけるしかない。
日本語化されていないので、非常に残念である。確かに会話やムービー量は多く、選択肢も必ずほぼ出てくるので、ストーリーを堪能するためには多少の英語力は必要だと感じた。ただし複雑なストーリーではなく、ムービーを見ながらだとなんとなく理解はできるはず。本作品は非常に話に注力しているので、あまり書けないが、「1972年、共通の敵を持つ犯罪者2人が、脱獄して復讐を遂げる」とでも書いておこう。開発元のHazelight Studiosは前作Brothers – A Tale of Two Sonsでもそうだったように、家族間の内面を重視しており、犯罪者2人の夫として親としての苦悩が丁寧に描写されていた。丸々家族がテーマとなっているチャプターもある程である。
ゲームのジャンルは?と問われることがあるが、これは「協力アクション」「協力アドベンチャー」とも言い切れない。便宜上アドベンチャーと称されているが、適切ではないと思う。というのも、チャプターによってジャンルが異なっているからだ。序盤は刑務所ということでステルスがメインとなるが、脱獄後は逃走となり、家族の前ではアドベンチャーで、後半は銃撃戦で……というジャンルのごった煮、もしくは単に「協力ゲーム」と評していいだろう。至る所で「協力QTE」を要してくるので、ボイスチャットで意思疎通をはからないと厳しい場面が出てくる。操作は、オフラインCoopではキーボードとコントローラーだが、オンラインでは2人ともキーボードでプレー可能。しかし、銃撃シーンはともかく、ネジを外したり会話を選んだりするシーンではコントローラーの方がやりやすいのではと思う。
難易度の選択はできない。青龍さんと話した感じでは、アクションに失敗するにつれ、その難易度が下がってくるようだ。ただ、ストーリー重視のゆえ、スムーズなゲーム進行を狙いとしているので、そもそも難易度は高くない。銃撃戦のシーンでは、敵がマーキングされるので、苦手な人でもわかりやすい。詰まった所が3つあったが、「解法がわかっているものの、自分らのスキルが足りない」ではなく「そもそも解法を勘違いしていた」ものだった。ゲーム中横道にそれることも多々あり、ちょっとしたミニゲームで対戦したりすることも可能。
操作するキャラクターは短気で高所恐怖症のレオ、冷静沈着だが心配性のヴィンセントの2人である。通常この手のゲームは、キャラクター特性に違いがあるのだが、本作に限っては無いのでどちらでプレーしても構わない。ただし、問題解決のため両人が提案するが、どちらかを選ばないといけない。それがリプレイ性になっている。お互い離れて活動するシーンもある。その時は右クリックにて、緑の矢印を確認すると、それが相手の位置となる。
画面は基本的に分割になっていて、お互いの様子や会話を知れる。しかも、場面に応じてその比率は漸次変わって行く。分割はやりづらいかと思っていたが、引きカメラで不便を感じたことはなかった。むしろステルスシーンでは、マルチカムによる多数の視野により、敵の状況を把握しやすくなる点もあった。しかし、カメラアングルの操作性に戸惑ったことが数回あった。基本的にキャラを映すアングルに応じた移動方向キーになっているが、そのカメラアングルが変わると操作キーも変わってしまう。
グラフィックはインディーということで、そこまで目立たないし、アピールポイントでも無いと思う。画調もアニメっぽい。前作Brothersのような彩度の強めで暖かい印象を受けた。サウンドも前作のような叙情感じるものが多い。声優さんの演技も自然でキャラクターが立っている。
発生した不具合としては、クライアント側が突如切断された(通常は快適にプレー可能)こと、ゲーム中にサウンドデバイスを変えるとBGMだけが聞こえるもの、など小さなことがあった。ゲームの進行が不可能になるような致命的なものは発生していない。
本当はもっと内容を踏み込んで書くべきだろうが、ネタバレになってしまうのでここで筆を擱く。私は「これは神!」「最高すぎる!」とか煽って書けないので、面白さが伝わったか疑わしい。いつも通り作品紹介とか分析のようになってしまったが、とにかくCoopゲームのレベルを一段引き上げた傑作である。協力プレーが好きでもそうでなくても、私に騙されたとでも思って一度はプレーをお勧めする。
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