Nevermindレビュー

プレイヤーは精神科医となり、特殊な機材によって、何らかの精神的トラウマを持つ患者の意識下に入る。それを自ら明瞭にさせることで、克服を目指す。ストーリーはあっさりしており、患者のトラウマ巡りといったところだ。そのため、話が盛り上がったり、キャラ立ちしている人物が登場したりするわけではない。

ゲームの目的は、患者の過去を表した10枚の写真を集めていく。最後にそれらを時系列順に並べることでクリアーとなる。尚、患者は嘘をついていることもあり、その嘘の写真も混入している。正しく並べることで、患者は全てを告白しクリアーとなる。2周目では、さらに患者の細かい記憶を辿るアイテムを発見する(1周目では不可)ことができる。

本作品の最大の特徴は、5種類のセンサー機能と連動させると、ゲームの様相が変わることだろう。ウェブカメラで自分の顔をモニターしたり、脈拍計で心理状態を投影させたりすることができる。私は、Apple Watch 2の脈拍計をWindows(ゲームマシン)と連携させた。やり方は、NevermindコンパニオンウォッチアプリをiPhone経由でインストール。iPhoneにもアプリがあるが、これとウォッチアプリの両方を起動するとゲーム側で認識しなくなったので、ウォッチアプリだけを先に起動・脈拍計測を開始し、ゲームを立ち上げる。ゲーム内ではオプション画面にセンサー項目があるので、そこからコンパニオンを選択する。ゲーム側で脈拍数が検出できていると、実際のゲーム画面左上に心臓アイコンが点滅する。尚、私自身は使用していないが、ウェブカメラをセンサーとする場合は、オプションの入力画面で、カメラと目の位置を調整しないといけない。その際、逆光だと顔が黒つぶれしてしまうので、センサーが働かないと思う。

プレイヤーの心理状態を観測しながらゲームを変えていくという要素は、革新的である。と言いたいが、残念ながら適切に動いていないようだ。理想としては、穏やかな場面では平常脈数で、異常な場面で脈拍上昇によるゲーム変化というのが望ましい。私の場合、ゲームを通して70から90台だったので、デフォルト感度では、あまり変化しなかった。この感度を高く設定すると、穏やかな場所でも変化が起こりがちであった。ちなみに、このゲーム変化とは、具体的にテレビの砂嵐のような視覚効果が入ったり、魚眼レンズ視点になったり、イベントによってはマップの様相が変化したりする。クトゥルフゲームでいう所のSAN値で、それが下がる(つまり脈拍が上がる)ことでゲームがやりづらくなると考えてもらったらいい。個人的には、ただ画面が醜くなるだけで、イマイチといった感じだ。

ジャンル的にはホラーゲームなのだが、ゲーム側から積極的に驚かせにくることはない。先にも述べたが、患者のトラウマ巡りで、その狂気を見て回る感じである。事前に患者の容態を少しだけ知ることができるが、実際はでっち上げられていたり不条理であったり破綻しかけてあるのが面白い。これは記憶という曖昧なものを逆手にとって、プレイヤーを飽きさせずに解釈させるのに成功している。最後にはきちんと患者自身の口から回答を得られるので、モヤモヤが残ることない。また、適度に穏やかな場面が入るので緩急のつけ方が上手だと感じた。一般的なホラーゲームは、一本調子になりがちで、それに慣れてうんざりしてしまうので。

グラフィックはUnityエンジン。インディーによる製作なので、技術的に優れているとは言い難い。ただし患者のトラウマは上手に表現できており、鳥肌が立つような描写もある。何も知らずに見ると単なるバカゲーに陥りそうな場面もあったが、上手く纏め上げている。尚、描写はゲームの根本に関わっているため、スクリーンショットは無難なものを選んだ。ザラついているのは、センサー機能をオンにしているためである。

銃撃戦がなくグラフィックもあっさりめであるため、サウンドの主張も大きい。BGMよりもエフェクト音の使い方が上手い。

発生した不具合としては、チュートリアルにおける波打つ橋で、スタックして進行できなくなった。他、クライアント909番における、写真を並べて扉を作るシーンで、正しく設置できなかった。いずれもリスタートすれば解決できた。

総評として、よくできた小品と言えよう。センサー機能と連動したゲームプレーは、アイデアとしては素晴らしいが、上手く機能したとは思えない。まあ、他にこのようなガジェットを使用したホラーは見かけないので、ウェブカメラやApple Watchを持っている人は試してもいいかもしれない。ゲーム側から働きかけるホラーとしてのパンチ力は弱いが、個人的にはそういう「今から驚かすぞ!」と言わんばかりのくどさがなくて良かった。ボリュームも少ないので、他のジャンルのゲームの間にお勧めできる。

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Nevermindレビュー への2件のフィードバック

  1. Seiryu_PGD より:

    自分や誰かの精神世界に入るという設定は結構あると思いますが
    描写としては幻想的な風景イメージだったり、あるいは抽象的・幾何学的な
    シンプルな図形や線画で構成されたイメージだったりというパターンが多い。
    狂気の様な具体的に変なイメージで構成されている作品は少ないと思います。

    最近だとマイナーですがTyd wag vir Niemandとかがちょっとユニークな印象。
    http://store.steampowered.com/app/589730/Tyd_wag_vir_Niemand_Time_waits_for_Nobody/

    あとはFPPではなければ、ゲーム内全体が狂気を感じさせる奇妙なイメージで
    構成されているホラー物とかでしょうか。

    • Z.O.E より:

      ギフトありがとうございました。
      終盤の患者は、ホラーというより唯のトラウマであり、
      プレイヤーにとって怖い物ではなくなりました。
      あの脈拍計やウェブカムを使ったアイデアまでは良かったんですが、
      その調整と変化がもうちょっと明確になっていればと思いました。
      びっくりゴリ押しもほとんどないのも評価できます。

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