The Hunter: Call of the Wildレビュー

FPSにも幾つかジャンルがあるが、その中の傍流が狩猟シューターと言えるだろう。さりとて、その歴史は古く、また一定のファンがいるので、細く長く続いている。日本では、そもそも本当の狩猟に馴染みがなく、ゲームにおける娯楽性も皆無に等しいので、私が知る限り、この手が大きく流行ったことは未だかつてない。The Hunterは基本無料の課金ゲームだったが、買い切りゲームとして、新作が販売された。尚、ゲームは英語版で、日本語化の予定はないらしい。

私は、過去Deer Hunterなどの体験版を数種類プレーしただけなので、狩猟シューターの流れがわからないが、広いマップの中で獲物を狩って、得たお金で装備を更新していく、というもので大体合っているだろう。開始直後、いきなり野山に放たれるが、ミッションがチュートリアルとなっている。そのため、初心者はそれらを達成していくことで狩猟のイロハを学べる。必要ない場合は、無視しても問題や制限はない。

血の気の多い人は、早速ライフルを構えて、突撃したくなるが、獲物は獲物であって敵ではない。クマやバイソンなどは、襲いかかってくるし、シカも稀に突進してくるが、基本的に獲物はプレイヤーから逃げるものである。遠くから聞こえる鳴き声を聞いて、こっそりと近づき、双眼鏡で確認し、スコープを覗いて、息を止めて、引き金を引く。即死させた場合は、その場で回収し経験値とお金を得、半矢(手負い)になった場合は、足跡と血痕を頼りに追跡する。失血とともに獲物は行き倒れることも多いので、根気よく追えば死体を回収できる。ゲームの様相から、硬派なシミュレーションの印象があるが、実際はスニーキングシューターと見做していいだろう。難しい過程や操作は不要で、(多少の忍耐を別にすれば)初心者でもプレーできる。

獲物にはレベルやレア度が設定されている。例えば立派な角を持った雄シカは雌シカより経験値や金額が大きい。狩猟難易度もあり、高いものは、より敏感にプレイヤーを感知して逃げるようだ。また、プレイヤーがどのように倒したかにもよる。例えば、一撃で仕留めれば経験値は高いが、半矢の場合は下がってしまう。そのため、脊椎や心臓などを狙うといいだろう。

獲物となる動物は狩人を感知するが、これは通常のステルスとは少々異なる。視覚はかなり良く、突っ立っていると100メーター以上からでも認識し駆け出す。音にも敏感で、難易度の高い獲物は、かなり遠くからこちらの足音を認識しているようだ。他のステルスゲームにない要素として、人間の匂いがある。こちらが風上で動物が風下にいた場合、人間の匂いを感知して逃げてしまう。この感知力は昼夜や天候、または地面の状態によって変わってくる。ただし、これは確実ではないが、夜狩りにおけるライト点灯は、(ゲーム側の配慮で)動物の感知力に影響しないと思われる。

また動物は、時間によって行動している。例えば朝になればトウモロコシ畑で食事をし、喉が乾けば川端で水を飲み、夜になれば特定の場所で休息をする。闇雲に追っかけるだけではなく、こういう場所にテントや建造物(共に有料)を建てて待ち伏せするのも手だ。

特定の箇所でずっと狩りを続けていると、動物はそこを危険地帯と認知し、避けるようになる。このハンターズプレッシャーはマップから参照することができ、紫が鮮やかになる程、動物は避けるようだ。

レベルが上がるとスキルとパークポイントを得る。スキルは2系統のクラスに分かれており、どちらにも自由に割振れる。ストーカーは、逃げた獲物を追跡する能力に長け、アンブッシャーは待ち伏せや誘い出す能力が高い。初期状態でも足跡、フン、血痕を追跡できるが、これらを精密正確にするスキルは重宝するだろう。パークポイントは別にもらえるが、これは銃火器の取り扱いを向上させるものである。

フレンドとボイスチャットを使用したプレーでは、さらに戦略に深みが出る。綿密に連携し、獲物の群集団を囲い込んで、一人ではなし得ないほどの収穫を得ることもあった。スキルや武器を分担すると、さらに効果が高いだろう。一応、プレイヤー間で競うミッションが設定できる。例えば、「シカを3匹マーキングしろ」というものは、最初にそうした人の勝ちである。ただし、何も報酬がない(バグか不当利用の防止か)ので、単なる余興以下である。

武器に関して断言するが、アサルトライフルなどの連射武器、ロケットランチャーなどの爆破武器は存在しない。単射のライフル、ピストル、ボウもしくはショットガンである。各銃火器には、口径が設定してあるので、対応弾を買う(初期のライフルは無料)ことになる。発射された弾丸は、現実世界のように重力や風の影響で弾道が変わる。射撃場があるので、そこで無限に試し撃ちができる。個人的には350メートルから明らかな落下を感じた。

アイテムの中で重要なものは、ルアーだろう。その中に呼び笛と匂いがある。野山を散策していると、動物の鳴き声がする。その時に、対応する呼び笛で反応してやると、誘い出すことができる。当然、プレイヤーを発見すると逃げ出すが、かなり近くまでやってくるので、狩りやすい。一方、各動物に対応した匂いを使うと、風下の獲物を引き寄せることができる。ただ、これは基本使い切りなので、スキルで効果を持続させても割高に感じた。個人的に気になったのが、アイテム説明文のスクロールが速く、3行しか見れないので、ネイティブでも読めないのではと疑わしい。

グラフィックは、本作品の目玉だろう。狩猟ゲームといえば、低予算のライト系ゲームであり、見るべき点は皆無と高を括っていたが、最近のものを見ると、その考えは誤謬であると認識させられた。兵士、巨大ボス、建築物を製作しなくて良いぶん、広大な自然に注力できたようだ。激しい戦闘もないので、細部まで目が行き届く。雨に濡れ反射する泥濘、木漏れ日(月)、動物の毛、草が倒されてできる獣道など、色々気づいて驚いた。Apex Avalanche Open World Engineを利用しており、描写は写実的だ。マップはヨーロッパとアメリカをイメージしたものが2種類あり、広さは約130平方キロメートル。これだけのクオリティーであれば、十分大きいと言える。尚、マップは地区ごとに様相が異なり、針葉樹が並ぶ山岳地帯、ベトナムよろしく鬱蒼と草木が生える森林地帯、トウモロコシ畑、赤、黄、橙など暖色系の林、湖水や川辺など単に、森林一辺倒にしないようにしてある。ただし、狩猟ゲームとしては描画が重い(最低でNVIDIA GTX 660もしくはATI HD7870 – 1GB VRAM)のは間違いない。

他のオープンワールドゲーム同様、初期のマップは塗りつぶされており、どこに何の施設があるのか分からない。そのため、点在する高台ポイントに行くことで、地区の一部が判明する。拠点に到達すると、アイテムの売買や休憩(時間を進める)、ファースト・トラベルができるようになり、ランドマーク等は経験値を取得できる。

音も良くできている。銃火器の発射音は、残響が残り、撃っている感覚が強い。また、どこからともなく響く動物の声もバラエティーがあり、しかも距離感まで掴めそうな強弱すらある。他、鳥のさえずり、虫のささやき、風にそよぐ草木など、雷雨など、派手ではないが自然な音を楽しめる。BGMは特定の場面でのみ短時間鳴る。

狩猟できる動物は、主にシカ科が多い。ほか熊、バイソンや狐等がある。リス、うさぎ、鳥も狩猟できるが、回収できないので撃つ意味がない。今後のパッチで、そうできるようになるのだろうか。個人的には、大きなマップに比べて、狩猟できる種が少ないように感じた。

残念ながら、現バージョン(ver.1227217)では、大小様々なバグが報告されており、また私の環境でも発生している。偶然なのかもしれないが、プレー中に青画面の発生が一度。必ず発生するのが、ゲーム開始直後の足跡等が表示されない。マルチプレー時に、クライアントが切断されてしまう。獲物が同期されずに、固まって回収できなくなる。これは仕様なのかわからないが、獲物を撃ち殺した人と、実際にその獲物を回収した人が異なる場合、マルチプレー上のスコアは回収した人に入る。ただし、このスコアは単なる数字で、実際に重要なお金や経験値は撃った人にしか入らない。ゲームがシンプルなので、急に中断されても残念だとは感じないが、バグが多い印象は否めない。ちょっと注意喚起すると、別のマップをプレーしたいときは、マップ画面から変更する。ニューゲームから行うと、一つしかないセーブデータが白紙になってしまう。

移動用のATV及び自由設置のテントが、有料DLCとして発売されている。乗り物は、マップ開拓の効率を上げる。テントはアイテムの売買、就寝、ファウストトラベルがどこでも可能になる。マルチプレーでは誰か一人持ってれば良い。

総じて、ゾンビもエイリアンもナチスも出てこないシューターは、魅力的だった。激しい戦闘は無いし、動物を探している時間は手持ちぶさで忍耐を要する。しかし、獲物を追跡して収穫するまでの緊張感と対比し、緩急あるゲームプレーが楽しめる。没頭しないから長時間プレーしても疲れないし、狩りの真っ最中でなければいつでも止めれる。自然豊かな大地を駆け巡って、風景や動物写真を撮るのも一興である。人を選ぶゲームかと思ったが、そうではなかった。スニークゲームが好きな方は特にお勧めできる作品である。スキルもコツもわからない、プレー開始直後が一番難しいが、徐々に慣れてくると一発で仕留めることも多くなる。フレンドとプレーすれば、まったりと話でもしながら獲物を探したり、確実に仕留めるためにシンクショットをしたりするので、もっと楽しい狩猟ができること請け合いである。

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