Clive Barker’s Jerichoレビュー

注意:このレビューは、以前私のサイトで掲載していた過去のレビューを修正加筆したものです。ゲームに対する考え方等は、できるだけ執筆当時のままにします。

934445_77943_front-2Mercury Steam Entertainment製作、Codemasters発売のFPS(2007年発売)。その題名からわかるように、英国のホラー小説家Clive Barkerが製作に携わっている。マルチプラットホームのゲームで、Xbox 360やPS3でも発売されている。内容に違いはないと思うが、PC版ではエイムなどが最適化されている。現在、Steamでは販売されていないが、他のダウンロードサイトでSteam用のキーを売っている。Jericho01人類が世に生まれる前、神はファーストボーンという存在を作った。しかし、これは失敗作となり、神はこの存在を隔世に幽閉した。時は現代まで下り、中東の砂漠地帯Al Khaliに存在する遺跡を警備するチームが消息を絶つ。超自然的な事象が起こっているため、専門チームであるジェリコが乗り出す。

会話の量はそこそこある。個人的にあまり興味を惹かれなかったので、斜め読みをした。特定のキャラクターを使ってパズルを解くシーンは結構あるが、ヒントが出るので長時間迷うことはないだろう。Jericho02-2体験版から注目していたが、いざ蓋を開けてみると、予想以上に出来が悪くてがっかりした。不満に感じた点は色々あるにしろ、大所帯で戦う仕様が根本的にまずい。体験版では、プレイヤー含めた3人で戦っていたので、ゲームの大半は2、3人で組み、広いマップでは全員同時に使えると誤解していた。考えればわかるが、死亡するとストーリー上まずいキャラクターを6人も同時に出すと、プレイヤーの負担は大きくなる。

AIが敵を全部倒してしまって、プレイヤーが手持ち無沙汰にならないよう、敵の耐久力が異常に高くなっている。1体の敵に、6人総がかりでフルオープン射撃しても、10秒以上耐えている。数体の敵の攻撃で、こちらが一気に全滅したり、自爆攻撃で数人がダウンしたりすることがあった。ゲームの途中で気づいたが、雑魚敵にさえ弱点を設けており、ここを潰せば割と簡単に倒せる。しかし、味方AIはこの弱点を認識しないようで、ただ撃ちまくるだけである。1体の対処に時間がかかるので、シューティングとしての爽快感は乏しい。Jericho10また、プレイヤー側の弱さが目立つ。「6人もいれば、個々のヘルスは少なめでいいだろう。」という製作者の姿勢が見て取れる。Call of Duty 2のように、連続してダメージを受け続ければ目が血走り、やがてダウンに至る。安全地帯に避難していれば自然と回復するが、このゲームの戦闘は文字通りの乱闘で、休む暇がなく、しかも回復スピードが遅い。特殊能力を使わずに接近戦をやってみると、1体やっと倒せるものの、2体同時に攻撃されるとダウンする。全員ダウンすればゲームオーバーなので、プレイヤーは蘇生に奔走しなければならない。この蘇生がまたイライラする要素で、シューティングへの没入を阻害している。味方AIの馬鹿さも加わり、「こいつを蘇生させたら、あっちが倒れ、そこに向かうと今度はあいつらが自爆の巻き添えに…」と元の木阿弥状態になる。あっちこっちでピーピー泣き喚く味方を見てると呆れてしまう。移動スピードも遅くて敵の攻撃が避け難く、特に自爆型の敵に接近されるとどうしようもない。Jericho03-2ジャンプアクション(というかジャンプがない)はなく、露骨に「移動→戦闘→移動…」と単調と感じた。これはコンシューマ機への配慮か、味方AIのスタック対策だろう。絶壁などは、全て透明な壁で落下しないようになっている。

場所的な問題からか弾薬やヘルスもない。これらのマネージメントも楽しみの1つだと思っているが削られている。そのため、「1回の戦闘を切り抜ければフルヘルス、フル弾薬」という惰性を生み出している。Jericho13味方6人のキャラクターに個性を持たせて、バリエーションを増やしている。これ自体は良いことだが、できることやバリエーションを増やせば、プレイヤーの負担は大きくなる。操作、特徴から、ゲームの謎解きまで、色々覚えることがあった。各キャラはプライマリー武器、セカンダリー武器、そして数種類の弾薬を持ち、2つの特殊能力がある。銃火器の持ち替えができない分、個々をやたらと複雑にしている。これらの能力を使って謎解きをする場面が多く、単に撃ちまくって倒す敵なのか、何かの能力を使う必要があるのかわからないことが多かった。

味方に「進め・止まれ・どのあたりに行け」という、簡素な指示出しができるが、これは正直体を成してない。戦闘が始まる前は、壁に背を委ね特殊部隊っぽい姿勢をしているが、いざ火蓋をきれば、我も我もと言わんばかりに爆音を轟かす。そして、敵味方入り乱れた、フレンドリーファイア丸出し(ダメージはカウントされない)の乱闘になる。味方を留めておきたい時でも、どんどん突っ込んで昇天する有様だ。いくつかのパズルを解くために存在しているようなもので、その有効性には疑いを持たざる得ない。Jericho053人で戦うマップは、蘇生の負担が減るが、6人分の銃撃に耐える敵と戦うのは変わらない。「6人で戦う」ということに固執して、色々破綻しているように感じた。蘇生ばかりして、シューティングがお釈迦になっている。私はFPSに撃つことの楽しさを求めているのであって、仲間を蘇生して回ることではない。UNKさんも仰ってるが、「実現可能か否かを見極めて、時にはバッサリ切り捨てるのも優秀なクリエイターの条件」とはまさに然りで、ムリ・ムダ・ムラな要素は極力廃して欲しかった。

ここまで批判してゲーム性を切り上げるのは気の毒なので、その他に気づいたことを列挙する。プレイヤーはストーリー上、各隊員に任意に憑依できる。そのため、特定の謎解き以外は、好きなキャラクターで戦える。移動スピードは遅く(各キャラ同じ)、後退はさらに遅くなる。ジャンプはできないが、しゃがむことはできる。チェックポイントセーブ制で、やり直しのものぐさがある。Jericho04クイックタイムイベントでは、画面の端に押すべきキーが表示されるので、キャラクターのアクションを見ない。照準の周囲だったら、画面中央から視線が逸れないので、アニメに集中できてよいと思ったが。Jericho07いくつかの戦闘が突出して難しい。20回程度やり直したのが2箇所あった。もし難所かなと感じたら、特殊能力を惜しみなく使って攻略した方がいい。この能力は、再び使用するために少し待つ必要があるものの、使用制限はなく使い放題である。それでも難しいなら、各人の能力を組み合わせてみる。私はそのような「必殺技」を温存しておく主義なので、プレーを通して難しい印象が付きまとった。異常に耐久力が高い、倒しにくいと感じたら、コールと言う女性隊員に乗り移って敵の弱点をスキャンしてみるといい。Jericho0615時間程度。アンロックできる要素があるが、不満がたまるゲームなのでやらなかった。キャラの切り替えでリプレイ性が出ているものの、ゲーム自体は一本調子で分岐などの要素は一切なし。Jericho11敵の造形は非常によく、怖いというより気持ち悪い。ヌメヌメした肌触りにどす黒い血飛沫が印象的で、アップでも十分見ごたえある敵ばかり揃っている。むしろ、ビジュアル的に遠距離で戦っている方がもったいない気がする。ここは流石にバーカーを引っ張ってきたかいがあり、彼のデザインを再現できたMercuryの技術を認めざる得ないだろう。ただ、いかんせん敵の種類が少ない。ゲームを通して登場する敵が3種類程度で、あと各時代特有の敵が3~4種類ぐらいしかいない。

敵のAIは並。基本的に、死ぬまで突っ込んでくるものばかりである。スタックしているところは見なかった。むしろ気になったのは味方のAIだろう。ダメージを受けても回避行動をとらず、無駄に撃ちまくり、特攻に無頓着で即死する。中には戦闘に参加せず、指示に従わないなど問題あり。スタックすることはなかったが、戦闘中に幾度と蘇生してやる必要があった。
Jericho06現代の中東、第二次世界大戦、十字軍、ローマ、シュメールと時代を飛びながら戦うことになる。この中で、第二次世界大戦のクオリティーが悪い。狭くて、ゴチャゴチャして、視界が悪く、すこぶる戦いにくかった。十字軍に入ってからは、そのような理不尽や違和感も消え、ビジュアル的におどろおどろしい雰囲気が出て良くなる。印象的だったのはコロッセウム。あれほど広いマップが描写可能なら、他にも使って欲しかった。他、気になったのがローディングの多さである。ロード時間は短いが、終盤のシュメールでは小さなマップを何度も読み込んだ。Jericho09物理エンジンを導入しているが、入れてみました程度でゲームに活用されていない。また、肢体欠損の表現がほとんどない。これはゲームのコンセプトと合致しないので不満だった。味方の造形は奇抜に感じられたが、すぐに慣れる。ただ、どのキャラクターも黒一色で憑依するのにわかりづらい。ライティングは綺麗だったが、影は切っていたのでわからない。ただ、それがゲーム性に直結しているわけではなさそうだ。エフェクトおよびキャラクターのアニメーションは特に目立たなかった。Jericho08テクスチャ設定を高くして、シェーダーを低くし、解像度は1024*768でプレーしたが、非常に重かった(FPS20台後半)。激しい戦闘になると10台に落ち込んだ。800*600に落とすと、フレームレートは稼げるものの、粗が気になって逆にプレーに支障が出た。Jericho12銃火器のエフェクト音は、一部のサブマシンガンを除いてそこそこ良かった。BGMは、戦闘音と通常のものが切り替わるダイナミック形式を採用しているので、敵が出現したのがわかる。印象的だったのは十字軍とローマの物で、時代にマッチしていた。

バグは特になし。Jericho14総評として、これはビジュアルゲームだ。見てくれが良ければ、注目を集めるかもしれないが、他の要素をなおざりにしないでほしい。とにかく6人で戦う仕様が足かせとなり、シューティングとして楽しめなかった。

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