Medal of Honor: Pacific Assaultレビュー

注意:このレビューは、以前私のサイトで掲載していた過去のレビューを修正加筆したものです。ゲームに対する考え方等は、できるだけ執筆当時のままにします。

EAから2001年に発売されたMedal of Honor: Allied Assaultの続編(2004年)。開発元2015の主要メンバーがCall of Dutyシリーズで有名なInfinity Wardに移ったため、EA自らが製作している。日本語版も出ており、こちらは字幕及び音声を日本語化できる。現在、ダウンロード販売は見かけず、リテール版が米国アマゾンで残っている程度。

ストーリーは、米軍海兵隊トミー・コーリンとして、太平洋戦争の真珠湾からタラワ島上陸までを回想しながらプレーする。名前はあるものの、非常に匿名性の高かった前作の主人公から、友人3人と共にこの戦争を乗り切るものに切り替わっている。個人的には、このように明瞭な主人公を用意したほうが好ましいと感じた。

ゲーム中はコンパスに行くべき方向が示され、複雑な操作などもないため、英語力は不要だろう。

基本的に前作のゲーム性を踏襲しているが、ゲームシステムの一部を変更している。若干ではあるがリアル系ゲームの要素を取り入れ、スプリクトの緩和を図った。しかし、「アクション寄りのゲーム性」「ド派手な演出を体感してもらう」という、MOHらしさは健在なので、劇的な変化は感じない。前作のゲーム性が気に入っていた人はすんなりこれにも馴染めるはずだ。以下、変更点を述べてみよう。4人の部隊での行動が常となった。(マップによって、他の部隊との共同作戦もあり)前作ではプレイヤー1人が何十人のナチスを蹴散らしていく、史実ではあり得ないようなミッションが存在していたが、今回は常に4人で行動するようになっている。この仲間は不死身で、プレイヤーは友人の死によってゲームが中断する煩わしさがない。一定時間ぐったりして、衛生兵が来ると回復するようになっている。武器の保持数が2種類まで制限された。もちろんこれはサイドアームも含まれている。ただ敵の武器も拾えるので、あまり弾薬には困らない。アイアンサイトも導入しているが、集弾性が高いので、あまり必要性はないと感じた。単発ライフルを持って、障害物で見えない遠距離の敵兵を狙い撃つのに利用するぐらいか。手ぶれもなく、容易に狙いがつけられる。

ヘルス回復は衛生兵によって行われるが、回数制限がある。(ヘルスパックが落ちていることもあるが、滅多にない)これが一番リアル寄りになったなと感じた。気軽に回復ができないため、慎重に戦わざる得ないし、次々とやってくる日本兵を、無傷で返り討ちにするのはかなり厳しい。単体はそれほど強くないが、数で押してくる。序盤に回復を使い切ってしまうと、後半が苦しくなる。難所などは、前線を不死身の友人に任せ、自分は物陰に隠れて援護射撃という戦いになった。また、敵の砲火に突っ込む無茶なイベントがあったが、そこが難所だった。

出血をするとヘルスが徐々に減り続ける。これはただ煩わしいだけで、全く不要。銃剣に刺されると、動悸がしてヘルスが減りつつける。Bandageボタンを押して止血しなければならないが、体験版と比較してその所要時間が長くなっている気がした。

4つの簡素な命令を小隊に与えることができるようになった。ただ、とってつけたような感じで、全く使用しなくてもクリアーは可能。大抵はプレイヤーの行動にAIが合わせてくれるほうが多い。例えば自分が瀕死になって、後退するとAIも戻れと叫んで後退する。

スプリクトによるゲーム進行ではあるが、前作のような純然たる一本道ではなくなったようだ。それ程やりこんではいないが、一部のミッションで隠しアイテムを発見すると、次のミッションの冒頭で仲間が「トミーが発見した文書によれば、この先に戦車部隊がいるらしいので迂回しよう。」とルートが変わった。いくつか表記されない目標があるので、これらを偶然に達成するとその後の行軍に変化があるのかもしれない。

総じて自由度が高いと言えないが、前作のように製作者に「やらされている感」は大分少なくなっている。死ぬ前と死んだ後の戦闘では、AIの行動が若干変わっているので、露骨な覚えゲーにもなっていない。大量の敵を倒さないといけないアクション要素はそのままで、割と慎重な行動が要求されるゲームになっている。MOHのアクション性を残しつつ、若干のリアル系要素を導入したシステムである。感想としては上手に細部だけを変えたなと感心した。

一部航空機に乗って戦うイベントがあり、これは問題に感じた。まず、海兵隊が攻撃機に搭乗するのかという疑問。次に、機体の操作性が非常に悪い。太平洋戦争ということから、空戦は入れなければならないという意図はわかるが、そうするならもっと質を上げて欲しかった。この程度だったら単に作品の印象を悪くしており、入れないほうが良かっただろう。また、車の助手席から撃つというイベントもある。

最終ステージは露骨に長くて難しくなっていたが、それ以外は慎重に進めば問題ない。相変わらず固定機銃に一気にヘルスを削られるのは前作から変わらない。

太平洋戦線ということから、泣く子も黙る日本兵が相手となる。戦車も登場するが、ドイツ軍のような機械化された軍団などは出てこない。あくまで歩兵がベースとなっている。零戦や艦上爆撃機なども登場するが、これらは限定的。今回は戦闘が面白かったので、歩兵だけで飽きることはなかった。

AIにはモラルがあり、それに応じた行動を取ってくる。前作では全く同じパターンの戦闘だったが、Pacific Assaultでは戦闘に多彩さが出ている。例えば、プレイヤーが一旦後退して衛生兵を呼ぶと、他の連中も同様に後ろに下がってくる。味方が後退すると、敵兵は「こちらが押している」と判断し、意気揚々と攻めてくる。こちらの側面に回りこんで十字砲火をやることもあり、消極的だった前作のAIとは違うなと感心した。刀剣を持つ将校を撃ち殺すと、統制が利かなくなり、銃剣で万歳突撃を仕掛けくるようになる。こちらが単発系ライフルを持っている時に、この突撃を受けると振り払いが間に合わない。射撃密度や移動のスタック等の問題は見当たらなかった。ただ、優先的にプレイヤーを狙ってくる癖はどうかなと思うが。

米軍の武器はドラムマガジンのトンプソンをはじめとして、前作に出てこなかった武器もあった。日本軍の武器の種類は少ない。アイテムに関してはヘルスと任務遂行に必要なアイテム、そして弾薬のみ。

今回は真珠湾、艦の中、航空戦、野戦空港など、バラエティーはあるが、その半分はジャングルで、色合いが似ているという欠点を持つ。中盤から終盤にかけては似たようなシチュエーションなのでダレてしまうかもしれない。それでも昼夜、霧、雨、晴天など、なんとかシチュエーションの変化を付けようとする努力が伺える。

前作はQuake 3エンジンの改良版を使用していたが、今回は自前のエンジンを使っている。移動感覚や発射感覚は前作のままで違和感はない。今回はストーリーを重視していることから、モデリングやアニメーション、特に顔の表情が大変良くなっている。あるムービーで主人公が傷を負うと、後のムービーでその傷の跡が残るという細かさもあった。

他、CODでも導入しているトランス状態も良かった。揚陸艇が転覆したり、ショック状態で耳鳴りがしたりすると、視界がぼんやりするエフェクト効果が出る。死ぬ時や、固定機銃を撃ちまくる反動から視界が見にくくなるエフェクトもリアリティーがあった。

ジャングルも、単に小道にジャングルらしいオブジェクトを置いたという印象は無く、きちんと視界の悪い茂ったジャングルとなっている。Vietcongのような汚らしさはなかったが、南太平洋の雰囲気は出ていて良い。物理エンジンはハボックを採用しているが、死体のラグドール程度。

前作からの引き続き気になったのが、出血描写だ。前作は子供でもプレーできるよう過激な出血やゴアを避けていたが、これでは「当てている」感覚が薄く、シューティングとしての面白さが損なわれていた。今作はピンク色の血糊が霧吹きのように一瞬見えるが、問題を解決したとは思えない。

今作も迫力のある環境音や効果音を使って、戦争の雰囲気を十二分に楽しませてくれる。文句はないのだが、何度も何度も爆発音を聞かされると飽きてくる。BGMに関して言えば、バンドオブブラザーズのような物で印象に残っている。

日本人には、友軍の英語より敵兵の日本語の方が耳に入るのだが、どうもこの喋り口調が、今風っぽかった気がする。(なぜか大阪弁が入ってる)「お国のために!」「天皇陛下バンザ~イ!」が何度も何度も聞こえて萎えた。日本兵はこれしか台詞がないのかと思った。

私の環境では、車に乗れないことがあった。ゲームをロードすると、アイアンサイトの固定トグルがはずれるようになった。また、理由はわからないが突然死んだことが1回。その他、クラッシュやフリーズ等はなかった。

総評として、前作は雁字搦めのスプリクトと理不尽なミッションで、あまりいい印象がもてなかった。根本的に今回も変わらないものの、AIの行動やちょっとした分岐点があって、前作のうんざりした気分にはならなかった。前作からの変更点は成功しているといっていい。今作品PAは拡張パックなどは存在しないが、今では安くなっているので買ってみてもいいだろう。

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