Preyレビュー

注意:このレビューは、以前私のサイトで掲載していた過去のレビューを修正加筆したものです。ゲームに対する考え方等は、できるだけ執筆当時のままにします。

2006年に発売されてたアクションFPS。現在Steamでは販売が停止しているが、他のダウンロード販売業者からキーが売られている。ただ、それをSteamで有効化できるかどうかはわからない。

青龍さんからの追加情報:Preyはリテール版のCDキーをそのままSteamに登録出来るという珍しいゲームの一つです。なので未開封のリテール版をどこかから入手してきて、その中のキーだけを売っているという可能性はありますね。なお日本語版については登録出来るのか不明です。キーの形式が AAB1BB2C345CDD6E E7 である必要があるそうなのでこれ以外なら駄目。また可能だとしても日本語字幕は無理だと思います。

ネイティブアメリカンのトミーは、古臭いチェロキー族のアイデンティティーを捨て、都会に飛び出したがっていた。しかし、彼の祖父や恋人のジェンは、彼の主張に一向に理解を示さない。くだらない日常のある日没後、酒場を切り盛りするジェンが飲んだくれに絡まれる。逆上したトミーは怒りに任せて彼らを殴り殺してしまうがその時…

FPSのストーリーというものは、非常に強いマッチョがエイリアンを片っ端から蹴散らしたり、一般市民のサバイバルをテーマにした物が定番だった。ただ、それらストーリーは二の次であり、申し訳程度に取って付けたゲームも多い。そんな中、このストーリーは非常にしっかりしている。端的に言うと、このゲームのストーリーは一般市民のサバイバルなのだが、安っぽいそれらとは一線を超えている。血筋だの運命だの説得してくる祖父に対し、トミーは反抗心剥き出しの若者らしく、ジェンを連れてさっさと家に帰りたいと主張し、何かと祖父と意見を対立させている。主人公と祖父の行き違いは過去のFPSには見られないし、非常に面白い。また彼は「ただジェンをつれて帰りたい」一心で戦っており、決して好戦的では無いというFPSの主人公らしくない性格である。肝心のエイリアンも、「巨大な球形の宇宙船に乗って地球を占領しに来た」という単純なものではなく、それは一種の生態系として地球の資源を奪いに来たという設定である。これらSF要素にはオリジナリティが溢れ、雰囲気作りとしては満点に近い。総じて、極めて映画のような演出がされて、見ごたえがあるできだ。

ゲームをクリアーするための英語力はほとんど不要である。マップを隅まで散策できれば道は開けてくる。しかしストーリーのできがいいので、会話を飛ばして進めるよりも、じっくり耳を傾ける事をお勧めする。そうしないと、なぜあのような結末になったのかわからなくなる。尚、そこそこの量の会話があるので、リスニング力は必要である。

ゲームの進行中に、何箇所かラジオが聞こえてくる場所に遭遇するだろう。これは有名なDJの番組なのだが、進行を中断して聞き入るまでもなかったので、完全にパスした。

このゲームは総じて見れば単純なアクションFPSなのだが、そうとも割り切れない特殊な要素がいくつかあるので、それを簡単に説明しておこう。スピリットウォークというものがあり、これは肉体と精神を分離すると表現するとわかり易いだろうか。プレイヤーは肉体から抜け出したトミーの精神(操作感などは全く同じ)となり、自分の肉体を外からまじまじと眺めることができる。これは主にパズルを解くために使われ、スピリットモードでなければ渡れない橋などが存在している。そのため、行き詰ったらとりあえずスピリットモードにして周りを見渡せばよい。ただ誤解してほしくないが、精神存在という語感から、なんでも通り抜け可能なnoclipモードのようなイメージがある。実際は電磁シールドのようなものしか抜けられなく、好き勝手できるというモードではない。

このモードへはスピリットエネルギーを全く消費しないので、気軽に使える。武器は唯一矢が使用可能で、こちらはエネルギーを消費し、またスピリットモードで敵の攻撃を食らっても消費してしまう。もしエネルギーを全て消費すると、強制的に肉体に戻されてしまう。弓矢はステルス向けの武器だが、このゲームにステルスの必要性は余り無い。また弓矢は連射速度が遅く、普通の武器の方が使い勝手が良いので、私はあまり使わなかった。

また、デスウォークというものもある。大抵のゲームは、ヘルスが0になればゲームオーバーとなりロード画面になる。だがPreyではプレイヤーが死んでもゲームは終了せず、強制的に異世界に飛ばされる。そして、そこを旋回する鳥のような敵を撃ち落とすミニゲームをして、その撃ち落とした数で復活後のヘルスやスピリットエネルギー値が決まり、先ほど死んだ場所にリスポーンする。死後にロードを行わないこのシステムは、ゲームプレーをスムーズにする一方、海外のプレイヤーにはチートまがいのシステムと不評だった。開発陣は、「途中でプレーを中断・放棄させたくない」という理由で、これを導入したようである。

このデスウォークは難所における達成感を奪っているような気がする。例えば、うっかり誤って谷底に落ちてしまったとしよう。そんな時はデスウォークのような即復活システムは非常に有効だ。しかし戦闘で死んでしまったプレイヤーを際限なく復活させるのは惰性を生むのではなかろうか。私は難所で殺された時、再ロード中に「あそこの敵をああ倒して、それから…」と色々考えをめぐらすのだが、このゲームでは「どうせすぐ復活するから適当に戦ってもいいや…」という邪な考えを持ってしまった。また激しい戦闘中に不意に死亡し、あのミニゲームを強制的にやらされるのは、物事を中断させられる様で不快だ。例えるなら普通のFPSをやってる最中に、急にゲームが最小化して、マインスイーパーをやらされる感じがする。再ロードを省くには画期的なシステムだったが、個人的には戦闘における惰性を産み出すマイナス面が大きいと感じた。

重力も大きな特徴である。これは上下感覚を狂わせ、人によっては酔ってしまうかもしれない。重力が発生する道(光っている)は、壁や天井に張り付いて歩くことができる。またそこでの戦闘は、あたかも敵が天井に張り付いているようでとてもやりずらい。ジャンプするとその重力から離れてしまい、地面に落下するので注意。他、重力発生スイッチというものがあり、これはビックリハウスのように画面が回転し、別の面に重力が掛かってくる。

ポータルも存在する。空間に穴が開き、別の場所に行くことができる。向こう側がきちんと見え、また弾も通過するのでポータルを通しての戦闘になることもあった。急な敵のスポーンに使われるシーンが多く、強襲で苦しめられるかもしれない。またこのポータルは裏側からは見えないので、進行に迷うかもしれない。

このゲームには、自動難易度調整システム採用されているが、正直調整されているのかわからなかった。戦闘における難易度調整らしいが、僕の場合は、1回の戦闘で3回以上死んだのが稀だったので、本当に調節されたのかわからない。

このような特異なシステムが幾つか取り入られており、パズル性は他のFPSと比べて非常に高い。恐ろしく難しいものはないが、行き詰ってしまうことが時々あるかもしれない。ただパズルのバラエティーは少なく、同じような仕掛けが繰り返される感じである。また中盤以降はパズルの数も減っているようで、面倒くさいものが嫌いな僕はむしろ良かった気がする。

Doom 3エンジンなので、基本的に移動や戦闘の感覚はあれと同じと考えていい。ライターが存在するものの、D3のように真っ暗で先が見えないという状況は殆ど無い。

他のレビューで、「戦闘が物足りない」という意見はちらほら見かけた。その意見には概ね同意するが、そこまで致命的な欠点とは思えない。戦闘の少なさより個々の敵の強さ(子供やロケットを撃つ多脚型)で、むしろ楽しめた印象がある。尚、それら戦闘は終盤から急に激しくなる。ボスの出現の間隔がかなり短くなり、終盤ではそれらのオンパレードとなっている。プレー後に考えてみると、メインディッシュを最後の最後にいくつも持ってこられるようで、「バランスが悪い」という印象である。特にキーパーと連続して戦う場所では、弾薬が不足して困ってしまった。リーチガンの弾薬の所在がわかりにくく、キーパーにレンチで殴りこむ寸前だった。

一般的なFPSと異なって、パズル性が高く、少しばかり頭をひねらないといけないものもある。私は特にウォークスルーを参照せずにクリアーできたので、概ねこの手のゲームに慣れたプレイヤーであれば問題なく進めるだろう。

戦闘に関して、終盤から劇的に難しくなると述べた。ただ致命傷を負っても、25まで自動回復するので、逃げて隠れれば戦えないこともない。また終盤に祖父からの試練でヘルス値が上がる儀式を行うが、ヘルス値が数値ではなくバーで表示されるので、どのくらい上がったか客観的によくわからない。

総プレイ時間は12時間程度。短い代わりに内容が非常に濃いので、物足りなさは全く感じなかった。謎解きや戦闘によるリプレイ性は全く無い。ルートも完全に一本道だったと思う。

モンスターの種類については逐一紹介しないが、「これD3のあのモンスターの一部を使ってないか…」と思わせるのは気のせいだろうか。別に欠点ではないのだが、ちょっと気になっていた。造形は、一番最初に出現する生れたばかりの雛鳥(これが一番気持ち悪い)のような奴が印象に残っている。その他は普通。D3では新モンスターの登場ごとに逐一ムービーが入って、顔や体のアップを拝めるが、このゲームではそういうのが稀で、モンスターの詳細が見れなくて不満だった。(死んだ後はすぐ消える)

AIは普通。死ぬまで突っ込んでくるのが大半で、あえて人間らしい動きをするのはハンターのみ。ただ、ハンターにしても特に賢い動きをするような感じではなかった。グレネードで自爆したり、こちらの投擲も認識しない。

武器のモデリングは一見して奇抜だが、実際の使用感は極普通と考えてもらっていい。7種類ほど存在するが、全てFPSではお決まりの武器(ハンドガンとBFGのような武器が無い)である。ゲージが残弾数値ではなくバーなので、あとどれくらい撃てるのか掴みにくい。

またシャトルという乗り物で戦うシーンもかなりある。過去のForsakenやDecentのような感覚といえばいいのだろうか、操作はマウスとキーボードで簡単。左クリックでキャノンを撃ち、右で物体を引き寄せるトラクタービーム(滅多に使わないが)が可能。

アイテムは、ヘルス(高難易度では存在せず)と弾薬のみ。アーマーなどは一切無し。

マップはゲームの一番の売りといっても過言ではないだろう。その構造は一本道であるが、雰囲気が素晴しい。機械都市、有機的生態的な巣、トミーが住んでいた都市などが雑炊よろしくごた混ぜになり、今までのFPSには無かった様子を呈している。なお、有機的なマップは、序盤以降少なめになっていて、少し残念に感じた。閉鎖的な空間のみならず、中盤以降はシャトルに乗って広い空間の中で戦うマップもあり、リニューアルされたForsakenやDecentをやっているようだった。Quake 4の乗り物シーンでは岩肌などに露骨な画質の低下が確認できたが、このゲームでは、(よっぽど近づいて確認しない限り)わからない。

グラフィックはD3エンジンを改良しているが、「軽くて綺麗」という印象。概ねD3と似た閉鎖的な施設の中を進んでいくが、D3より有機的な場所を多用しているため、ヌメヌメ感を出すスペキュレイターが効果的に多用されている。(僕は全く重要視しないが)影の描写がどうも簡略化されている。設定項目についてもD3と同じぐらいで、僕の環境では高めに設定しても問題は無かった。

OpenALにすると、EAX5.0が使用可能。エフェクトや環境音含めて、雰囲気作りに一役買っている様子。武器エフェクトは、ミニガンとショットガンにもうすこし迫力があっても良かった気がする。声優さんにも問題はないだろう。一方でモンスターの叫びは並で印象に残っていない。

BGMは壮大なオーケストラ調で、ゲームの雰囲気とぴったり合っている。しかし、このBGMは特定のシーンで鳴るのみ。戦闘やイベントで夢中になっている時は、あまり聴く余裕が無かった。

私の環境では、技術的な不具合は発生しなかったが、数体のキーパーとの戦闘で、少しHDDが読み込み始めた。あと個人的なことだが、移動中に鳥が周りをウロウロして(進路を教える)少し目障りだった。他、敵の言語をじっと眺めれいれば、英語に変換されるのだが、それに気付かず番号を入力するシーンで詰まった。

総評として、何かと奇抜さばかり目立ったようなゲームだったが、プレイ感覚としてほぼ普通のFPSと考えていいだろう。最初は見てくれの奇抜さによってプレー意欲を削がれていたのだが、もっと早くプレーしていたらと思った。いかなる面においても高水準を保っているので、安心して楽しめる一本である。

広告
カテゴリー: FPS パーマリンク

Preyレビュー への4件のフィードバック

  1. Seiryu_PGD より:

    Preyはリテール版のCDキーをそのままSteamに登録出来るという珍しいゲームの一つです。なので未開封のリテール版をどこかから入手してきて、その中のキーだけを売っているという可能性はありますね。なお日本語版については登録出来るのか不明です。キーの形式が AAB1BB2C345CDD6E E7 である必要があるそうなのでこれ以外なら駄目。また可能だとしても日本語字幕は無理だと思います。

    • Z.O.E より:

      そうですか、情報ありがとうございます。
      ちょっと追記しておきますね。

      ところで他の古いゲームの販売状況を確認しているのですが、
      日本の代理店が出した日本語マニュアル付き、完全日本語版はほぼ全滅状態。
      当時のリテール版や廉価版は米国アマゾン等で捨て値で見かけ、日本への国際郵便にも対応していることがある。
      デジタルダウンロード版は、当然Steam等の販売サイトで見かけますが、
      マイナーな作品の中には、以前売られていたものが販売停止になったというケースもありました。
      いわゆる、鍵屋はグレーゾーンなので敢えて言及はしていません。

      私の検索のやり方がおかしいのかもしれませんが、デジタル販売の検索は、
      「○○(作品名)digital download 」という言葉で検索していいのですかね。
      中には怪しいサイトも出てくるので、よくわかりません(笑)。

      • Seiryu_PGD より:

        鍵屋関連の検索では今どこが安いのか価格比較を行っているサイトが幾つかあります。
        http://cdkeyprices.com/
        http://cheapdigitaldownload.com/

        大手のサイトで現在売っている所と価格を調べるケースでは私はここを使ってます。
        https://isthereanydeal.com/

        昔の買い逃した物を購入する場合だと私はeBay一択ですね。世界発送に対応していている店が多数出店しており、特に英国は数が多くて在庫も豊富(再発版が盛んな国なので、オリジナル版にこだわらないなら)。送料もエアメール便だと安い所が多いです。

  2. Z.O.E より:

    ありがとうございます。
    ここちょっと使わせてもらいます。

    年末から始めたレビューの修正加筆が終わりつつあります。
    正月にCoopできなかったので、またやりましょう。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中