Vietcongレビュー

注意：このレビューは、以前私のサイトで掲載していた過去のレビューを修正加筆したものです。ゲームに対する考え方等は、できるだけ執筆当時のままにします。

2003年に発売し、ベトナム戦争を題材としたタクティカル系FPS。現在Steamでは取り扱っておらず、EAが出した中古の日本語リテール版がわずかに残っているようだ。しかし、Vista以降の環境では正常に動かないようで、今からプレーする場合は敢えて古い環境を構築しないといけない。拡張パックとしてFist Alphaが出ている。

クリアーするための英語はミッション目標を読めれば良い。題材となるベトナム戦争については、あえてゲーム内では説明しておらず、自分で経緯を調べたほうがいいだろう。当然登場するキャラクターはフィクションで、ゲーム内に日記や会話が存在する。ちなみに、UK版では肢体損傷表現があって、汚い言葉を使う。US版ではそのような表現はカットされている。

ゲーム性はタクティカル寄りだが、Rainbow Six: Raven Shieldほどではない。例えばヘルスの概念があり、回復にはメディキットか衛生兵を呼ぶ必要がある。銃火器をアイロンサイトにすると命中率が大きく向上する。部隊の兵士に指令を出すことができるが、細かい要望は出せない。

プレー時間は、30時間ほどかかり、たっぷり楽しめた。

一部にかなり難しいミッションがあり、不評を買っている。まず挙げられるのがベトコンのトンネルマップなのだが、文字通り迷路で延々と迷ってしまった。他、敵は昼夜関わらず命中率は一定なので、夜のミッションでも当ててくるので理不尽に感じた。ステルス系ミッションでも壁を通して警戒するのは閉口した。

敵は北ベトナム軍が中心となる。AIは素晴らしい。敵味方ともに露骨に撃ちあうのではなく、身近な障害物を盾にして被弾しないように戦う。また、同じ所に固定はせず、撃たれると場所を移動して安全に努めようともしている。移動についても、これだけゴチャゴチャしたジャングルをスタックせずに進むことができており優秀。一方、問題と感じたのは敵のグレネードの投擲が正確無比で、確実に爆死させられる。

マップのほとんどがジャングル中心なのだが、時間帯や天候や地形を変えているので、全く飽きはこなかった。従来のゲームのジャングルマップというのは、細長い通路の形をして、その両側に草木のオブジェやテクスチャを入れただけと言うものが多かった。しかし、このゲームでは、本当のジャングルのようで、胸の高さの川に入って進んだり、木々に触れるとガサガサと揺れたりする。汚らしく鬱蒼と生い茂った様子が再現できていて素晴らしい。

グラフィックについては、残念だが、僕のRadeon 8500では最低画質まで落とさないとフレームレートを出すことができなかった。現在のGeforce FX5950 Ultraに変えても、さして違いがわからなかった。ジャングルの描写は良かったが、人物や乗り物のモデリングが旧世代のゲームという感じでギャップを感じる。また、地形もなだらかな曲線を描いているというより、露骨にポリゴンの頂点が角ばっている描写である。一方、キャラクターのアニメーションは豊富。敵を発見すると、「あそこにいるぞ！」と銃口で示したり、付近が怪しいと手を握りしめて上げたりする。他にも高所に上る時や倒木を乗り越える時のアニメーションも自然。欠損表現は爆死した時しか見れず、あまりリアリスティックでもない。

サウンドは、ジャングルの雰囲気が良く出ている。ヘッドフォンでプレーしていると、ゲーム内の虫の羽音がパンニングした時、私の部屋にハエがいるのかと見回したほどだ。銃撃戦も相当臨場感があり、敵味方入り乱れての音はとても良い。EAXを有効にすると、距離感や定位感、反響がはっきりわかる。BGMは当時のラジオやロックなどを中心に流しているパートがある。

既知のバグは結構あったようだが、最新のv1.6を入れると大抵のものは解消されている。

総評として、あまりメジャーな作品にはなれなかったが、個人的にこれは最近の環境でもプレーできるように調整しデジタル販売して欲しい。Coopにも対応しているので、また友人とプレーしたい作品である。